こんにちは。社労士事務所マリン・ブルーです。
「やっと従業員を雇うことになりました!」
そうやって、嬉しそうに報告してくださる経営者さんの顔を見ると、こちらまで嬉しくなります。
ただ、そういうタイミングで、必ずこういう質問が出てくるんです。
「で、何からやればいいんでしたっけ?」
正直に言いますね。
入社手続きは、書類をそろえて印鑑を押すだけの”事務作業”ではありません。
むしろ、
「会社という乗り物に、人を迎え入れるための整備」 です。
ブレーキ、ハンドル、ウインカー。
これがついていない車を公道で走らせたら…
いくら運転技術があっても事故になりますよね?
それと同じです。
「今までこうやってきた」では、通用しません。
入社手続きの話になると、こうおっしゃる方も多いです。
- 「税理士さんに任せてます」
- 「今まで特に言われたことないので…」
- 「アルバイトだし、そんなにちゃんとしなくても」
お気持ちは分かります。
でも、残念ながら、それらは免罪符にはなりません。
労基署も、年金事務所も、ハローワークも、
「知らなかった」には、1ミリも同情してくれない世界なんです。
少し大げさに聞こえるかもしれませんが、
社会保険の未加入がバレたら、保険料がまとめて請求されることもあります。
…売上が上がってから気づいたとしても、もう遅いんです。
入社手続き、実は「3ステップ」しかありません。
安心してください。
入社手続きは、ポイントさえ押さえれば、ちゃんと回せます。
実は、タイミングで分けるとたった3段階。
| タイミング | やること | 期限 |
| 入社前〜初日 | 契約書・各種説明 | 入社日まで |
| 入社後すぐ | 社保・雇保の届出 | 入社日から5日以内/翌月10日まで |
| 給与支払まで | 給与計算・控除確認 | 初回給与日前まで |
この3ステップをちゃんと押さえることで、
**「あれ、これ出し忘れてた…!」**という事故が格段に減ります。
まずは「入社前〜初日」までにやるべきこと
ここ、実は一番モレが多いエリアです。
① 労働条件通知書の交付(義務)
いわゆる「雇用契約書」と呼ばれるものですね。
ただし、**法律上は「労働条件通知書」**の交付が必須です。
ですので雇用契約書兼労働条件通知書として双方で合意し、雇用主と労働者がそれぞれ保管しておくことが推奨されます。
口頭で伝えただけでは、裁判では証拠になりません。
② マイナンバーの取得と説明
社会保険や税の手続きで必要になります。
取得の目的を明示し、管理方法もしっかり伝えましょう。
…マイナンバーの取り扱い、意外と見落とされがちですが、漏洩すると重い罰則もあります。
③ 扶養控除申告書の回収
これがないと、給与から源泉徴収するときに**乙欄(税率高め)**で引かれることに…。
提出してもらうだけで、手取りがかなり変わります。本人にも嬉しいですよね。
「入社した後」すぐにやるべき大事なこと
ここからは遅れると罰則が出てくるエリアです。
社会保険の加入手続き(5日以内)
- 常時雇用されている従業員
- 週の所定労働時間および月の所定労働日数が常時雇用されている従業員の4分の3以上である者
試用期間中でも、条件を満たせば加入義務があるという点。
「まだ本採用じゃないから…」は、通用しません。
雇用保険の手続き(翌月10日まで)
週20時間以上・31日以上の雇用見込みがある方は、基本的に対象です。
「アルバイトだから対象外だと思ってた」という声、よく聞きます。
でも…労働時間と雇用期間が基準なんです。雇用形態ではありません。
給与支払い前に整えておきたいこと
初回給与って、従業員にとって会社への信頼の第一歩です。
「あれ?思ってたより少ない…」
これ、けっこう深刻なんです。
そこから、不信感→退職→通報…という流れに発展するケース、実際にあります。
給与計算方法の明示
・月給制なのか時給制なのか
・日割り計算はどうやるのか
・残業代はどう処理するのか
これらはあらかじめ労働条件通知書で明示しておくのが鉄則です。
実は見落とされがちな「差がつく手続き」
ここまでできていたら合格…なのですが、
さらに信頼される会社になるために、あと一歩。
① 36協定(残業が1分でもあるなら必要)
「うちは残業ないから…」という声、よく聞きます。
でも、繁忙期の1時間残業、ちょっとした持ち帰り仕事も、対象になるんです。
提出しておけば、会社も従業員も安心ですよ。
② 安全衛生教育
建設業や製造業はもちろんですが、
事務職でも基本的な注意事項を伝える機会として活用しましょう。
最初の1人目だからこそ、プロの目を。
全部を完璧にこなすのは、正直むずかしいと思います。
でも、最初の1人目でつまずいてしまうと、
そのあとも同じミスを繰り返してしまうことが多いんです。
だからこそ私は、
「全部を自分でやる前に、最初だけでも一緒に確認しませんか?」
とお伝えしています。
最後に、そっとお伝えしたいこと
「従業員が1人増えた瞬間、会社は ‘個人’ から ‘組織’ になる。」
たった1人の入社が、会社の未来を大きく変えることだってあるんです。
だからこそ、その瞬間を、
法律で守られた、あたたかいスタートにしてほしいと思っています。
どうか、最初の一歩を大切に。
そのお手伝いができたら、社労士として、こんなに嬉しいことはありません。


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