代休と振替休日の違いを正しく理解していますか?

労働環境の改善は企業にとって永遠のテーマですが、その中でも特に誤解されやすいのが「代休」と「振替休日」の取り扱いです。正しい知識は、トラブルを未然に防ぎ、企業と従業員双方の満足度を高める鍵となります。しかし、多くの企業は、これらの制度に対してしばしば大きな勘違いをしていることが多くなっています。この記事では、そうした誤解を解き明かし、より良い職場環境の構築を目指します。

目次

はじめに

代休と振替休日の違いとは何か?

代休と振替休日、これらはよく耳にする用語ですが、意外とその違いや正確な取り扱いについては理解されていないことが多いです。簡単に言えば・・・

  • 休日をきめるタイミング
  • 休日手当の有無

代休は、本来休日だった日に勤務を行い「その後」に代休の日程を決めること。
振替休日は、予め休日だった日と労働日を「前もって」入れ替えること。

ニュアンスとしては、代休は「休日勤務した代わりに休みをとること」、振替休日は「休日と勤務日を入れ替えること」になります。

誤解がもたらすリスク

誤った理解や運用がもたらすリスクは小さくありません。ここでは未払賃金が発生するリスクについてお話しいたします。まず、振替休日と代休では、給与の計算方法が違います。振替は休日と勤務日を入れ替えるだけなので、「休日出勤」には該当しません。そのため割増賃金となる休日手当は不要となります。(※同一週に限ります)

代休の場合は休日出勤に該当するため、法定休日に出勤させると35%以上の休日手当の支払いが必要です。たとえば、時給1,000円の労働者が法定休日(多くの会社は日曜日)に8時間働いたとき、振替休日と代休では賃金が以下のように変わってしまいます。

例:休日は土日 1日8時間の会社 時給1,000円

  • 振替休日:日曜日に出勤し同一週の水曜日に予め振替休日を取得している場合は、賃金の発生はありません。
  • 代休:同じ日曜日に出勤し、後日、水曜日に代休を取得した場合は割増分の支払いが発生します。計算方法は下記になります。

休日出勤:1,000円 × 1.35割増 × 8時間 = 10,800円

水曜日(代休):1,000円×1.00×8時間=8,000円 この差額2,800円の支給

このように、代休では2,800円の割増賃金がかかります。企業からすると、代休よりも振替のほうが、コストがかからないので、メリットは大きいですね。休日に勤務させる場合は、給与計算を行うときに担当者は、どちらの運用をしたのか考慮したうえで計算することが大切です。

ポイント:振替休日でも、同一週ではなく、第二週目に取得した場合は、振替はできているので休日割増は発生しません。ただし、週40時間を超えているので1.25割増が発生します。本来であれば、第二週の水曜日に支払う「単価×1.00×8時間」を第一週の日曜に支払ったと考えるので、差額の「単価×0.25×8時間」を追加で支払えばいいとなります。

代休と振替休日の勘違いについて

代休と振替休日が必ずしも義務ではない

多くの企業は、代休と振替休日が労働基準法により義務付けられていると誤解していますが、実際には企業が自由に設定できる制度です。代休の設定は企業の裁量に委ねられており、法律で強制されるものではありません。

ポイント:義務ではないが、制度として取り入れることをオススメします。労働者は色々な職場を経験していることが多く、前職では「代休も振替休日もあったのに」と社長や担当者に確認をもとめてきます。労働者からすれば、制度があるのが当たり前だと思っているかもしれません。ですがこういった当たり前だと思っている制度を導入することにより、従業員の精神的・身体的な健康を考えている。ワークライフバランスの向上に務めている会社だと思っていただけることが、労働者の満足度、仕事へのモチベーションに繋がり企業ブランドの強化にも繋がります。

まとめ

正しい知識でトラブルやリスクを避ける

振替休日と代休の違いについて、基本的な理解は深まったかと思いますが、特に割増賃金をどう計算するかについては、少々複雑な部分もあるでしょう。

実際に、多くの企業の給与計算を見ると、代休や振替休日を利用した月の給与計算に誤りがあることがよくあります。このようなミスは、支払う側も受け取る側も意識していないため、多くの場合、特に問題が発生することなく月日が流れてしまうこともあります。ですが、未払賃金が発生しているリスクもありますので、頻繁に振替休日や代休を利用している企業は、今一度、使用している給与計算方法を見直してみることをお勧めします。この機会に、確認作業を行ってみてはいかがでしょうか?

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